セイジが残酷なほど優しい手つきでわたしの頬の線をなぞった。
雨に濡れた冷たい手。
その温度に反比例するように声が熱を持って上ずっている。
「喉から手が出そうなほど好きな女がいたらさ、ちゃんと喉から手を出さなきゃダメなんだよな。かっこつけてないでさ」
両手でわたしの顔を挟んだセイジの両方の親指が頬の上を後ろに滑る。
わたしは追い詰められた獲物同然にその綺麗な瞳を見ているしかなかった。
ここにいるのはいい人、なのかな。
畏怖とか憤怒で占められてもいいはずの頭の中はなぜだか甘く痺れていて、考えることができない。
でも。
自分が取った契約の代償を求めて関係を迫るにしては、その瞳は澄み切っていて、あまりに切なかった。

