「大学時代からつき合ってきた女、結婚まで考えてた女は信じられないことに中学生の男を騙して関係を持ってた。入社してまだ間もない頃だったかな」
「…………」
「俺は刺激がなくて、つまらなくなったんだそうだ」
「…………」
セイジがこっちに詰め寄ってきて、わたしは数歩後ずさる。
壁にかかとがあたり、次にはコンクリートの冷たい感触が背に沁みる。
「好きな子が何年もの片思いの末につき合い始めたのを笑顔で祝福して、日本を出たよ」
「……何が言いたいの?」
「さすがに女関係でここまでいろいろあると、いい人、ってのはただの足かせだよね。いい人をやってると、いつまでたっても好きな女を自分のものにできない。まぁ。結婚する前に気づいてよかったって関係もあったけど」

