玄関に一足彼のビジネスシューズが出ていて、室内履きが外と中を隔てる場所に置いてあるから。
でもセイジはわたしの手をひき、そのまま靴も脱がずに部屋に上がった。
すごく高い天井のコンクリート打ちっぱなしのリビングが、いきなり現れる構造。
撮影かなにかにでも使われるような、洗練された珍しいタイプのたぶん1BR.
彼はそこを抜け、正面の部屋に入っていく。
わたしの手は、握ったままだ。
そこは、明らかに、どう見ても、ベッドルームだった。
「これは、どういうこと……」
「俺はいい人なんかじゃない」
つ、まり……。
$10000000の契約をモトムラに抱かれることなく取ってやったんだから、替わりに俺が抱く、と言っているの?

