NY・Sentimental



恐々話しかけた声は、自分で意識するもよりずっと小さかった。


セイジは窓の近くに立って、何も見えない真っ暗な外を睨んでいた。
聞こえなかったのだろうか。
そうじゃない、ということは、その怒りの収まらない横顔からはっきりと窺える。

どうしてこんなに怒っているの? 
$10000000の契約を取ったのよね。
今まで、大きくても小さくても契約が決まる度に二人で食事をして、お祝いをしてきた。

お祝いとはかけ離れた彼の態度とまとう雰囲気に、身がすくむ思いがする。
彼は『いい人』だから、わたしがモトムラの汚い策に乗って契約を決めようとしたことが、許せないんだろう。
どこかの駅について、わたしは引っ張られるように電車から降ろされた。

路上に出てみると空が真っ暗で、霧雨が降り、街がグレーに沈んでいた。