NY・Sentimental


返事はない。


わたしはうつむき、膝の上で右手の親指で組んだ左手の皮膚を強くこすった。
どうしたらいいのか全くわからない。


セイジがウエイターを呼び、カードで支払いをしている。
契約を決めたからなのか、憤慨したからなのか、モトムラはここの勘定をこちらの負担にしたらしい。
セイジを盗み見る。

みたこともないほど険しい表情に息を飲む。
とても話しかけられる雰囲気じゃなかった。
さっきのところはごめんなさい、ではなくて、ありがとう、が正解だと思う。

わたしは、悪いことはして、いない……よね。
今は誰ともつき合っていないから、誰かを裏切る行為じゃないはずだ。