ポタポタ落ちる水滴が真っ白なクロスにいくつもの染みを作る。
「ただのダミーだ。俺はこんなのに、録音機能があるかどうかなんて知らない」
四角い小さな物体を片手で握り、裏側の蓋を親指で押し上げる。
指が変色するくらい、すごく力を入れている。
弾き飛ばされた蓋の中身は空で、おそらくそこに電池を入れる仕様だ。
「わかってる……」
セイジはこんなものを使う人じゃない。
これでわたしを助けてくれたんだ。
いつも冷静沈着なモトムラも、動揺と憤懣のあまり、本当に録音されているのかどうかを確かめなかったことも幸いした。
セイジはちゃんとそこまで計算に入れた演技をしていたように思える。
その上、わたしが喉から手が出るほど欲しがっている契約も、ちゃんととってくれた。
「ごめんなさい」
どうしてなのか、謝らなくちゃいけないような気がして、わたしは気づくと謝っていた。
「……」

