セイジと二人で席を立ち、その少し曲がった背中を見送る。
わたしは無傷で$10000000の契約を手に入れた。
でも。
隣に立つセイジから、鋭利な刃物を向けられているような不気味で重いオーラが強烈に噴出していて、怖くてそちら側を向けない。
セイジが椅子になげやりに座った音が、人の少ないフロアに響く。
お礼を言わなくちゃ、と思うのに、言葉が出てこない。
いままでにないほど怒っているのが、何も言わなくてもわかる。
はっきりわかる。
消沈して、ゆっくり腰を下ろすと、目の前のテーブルの上、グラスの水に浸かった盗聴器が視界に飛び込んできた。
「これ」
グラスの中から取り出そうとしたら、わたしより先にセイジが乱暴に指を突っ込んで、それをつまみ出した。
彼の跳ね除けるような動作に、わたしの指とセイジの指が触れる。

