「今の社長はそろそろ退陣だ。しかし、後釜に据えるべき息子たちはみな凡庸。あなたのほうがよっぽど優秀。ただ凡庸息子にもきちんとしたブレーンがつけば社長になれないこともない。今、ソン・ホールディングスは息子派と、あなたを推す日本人技術者を中心としたグループで割れている」
「……」
「この録音を息子側に渡したら、あるいはマスコミに流したら、どうなるかな」
「脅すのか?」
「最初に脅して、釣って、非道な行いをしようとしたのはあなたです」
「それは……」
そこでセイジはモトムラのほうに大きく身を乗り出した。
モトムラの目を覗き込むように、威嚇するように見つめる。

