冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い


 
 玲志は香蓮の言葉に反応を示すわけでもなく、じっと手紙を見つめている。

 「好きな女性がいることも分かっていたし、夢も応援していました。でも、玲志さんのこと小さいときからずっと好きで……気持ちの踏ん切りをつけるために……書きました」

 すらすらと彼に話している自分に、香蓮は驚いた。

 それだけ当時の未練が残っていたのだろうと今更思い知る。

 「状況も関係性も変わってしまいましたが、私は今も玲志さんのこと……」

 「待て」

 玲志に制止され、香蓮はとっさに口を噤む。

 玲志は手紙を綺麗に折りたたんでしまうと、振り返って彼女を見た。

 彼の薄められた双眸に熱情が孕んでいるのを感じ、香蓮の鼓動がいっそう速くなる。

 「俺もずっと、香蓮のことが好きだった」