冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い


 「もちろんです。リビングで話しますか……?」

 「ああ。そうしよう」

 しかし玲志は動きを止め、香蓮の背後に見えるベッドの上のアルバムを見つめる。

 「香蓮。何かしている最中だったんじゃないのか?」

 「あ、大丈夫ですよ……! 昔のアルバムを見たくなって、ペラペラとめくっていただけですから」

 「昔のアルバム……」

 玲志はぽつりとそうつぶやくと、再び彼女に視線を落とす。

 「少し見てもいいか? 俺と離れている間の君が知りたい」

 「えっ……」

「十年も会っていなかっただろう」

 予想外の玲志の申し出に、香蓮は思わず驚きの声を上げる。

 気恥ずかしさから断ろうとするも、玲志があまりにも真剣な表情なので、結局香蓮は小さく頷いた。

 「わかりました。こちらへどうぞ」

 「ありがとう」

 香蓮に続き玲志が部屋に入る。

 一応部屋は普段から綺麗にしているが、下着や着替えがどこかにころがっていないだろうかと内心ヒヤヒヤだ。

 香蓮は玲志をベッドに促すと、本棚から選んだアルバムひとつを彼に差し出す。

 「このアルバムしかないですが、高校生のときの写真が少しあります」