真ん中に立っていた女性が一生懸命玲志に話しかけているのを、周りの女性たちは微笑んで見守っている。
話の内容的に女性は大手建築会社の娘で、社長である父親と玲志が食事をする仲のようだ。
香蓮も玲志の妻として輪の中に入りたいのだが、女性たちはさらさら彼女を入れるつもりはないような態度。
(彼女たちも、玲志さんが好きなんだわ)
香蓮は幼いころから何度も、似た状況に遭遇したのを思い出す。
玲志は社交性があり人を選ばず親切に接する。それに加え、万人を魅了する美貌まで備わっているとなると、こうなるのは当たり前なのだ。
さらに自信を無くした香蓮は玲志たちの会話の邪魔をしたくない一心で、ひとりで会場に向かおうと後退する。
するとすかさず玲志が彼女の腕を掴み、それを阻止した。
「今日は妻と来ておりますので。失礼します」


