翌日。
ふたりは予定通り仕事を早めに切り上げ、取引先の周年パーティが行われる外資系ホテルへと向かう。
到着して三階にあるパーティホールに直行すると、すでにパーティの参加者であふれており、みな一番最後にやってきたふたりに注目した。
「香蓮、緊張してるのか?」
「えっ……いえ、そんなことは」
「本当か? 表情が硬いぞ」
玲志はそう囁くと、指先で香蓮の口角に触れる。
香蓮はちらりと横目で玲志を見て、すぐさま頬を赤くした。
(毎日玲志さんを見てもう慣れているはずなのに、一段と素敵で見惚れてしまう)
普段のオフィススーツ姿も素敵だが、今日の玲志はさらに格式の高いスーツをまとっており、上品な雰囲気だ。
通り過ぎる人がみな立ち止まって振り返るほど美麗な男を隣にして、香蓮は申し訳ない気持ちになってくる。
「玲志さん、ご無沙汰しております」
甲高い声が聞こえ、玲志の視線が自然と後ろに移る。
香蓮もつられてそちらを見ると、上品なワンピースドレスを着た若い女性が数人、満面の笑みで歩いてきていた。
「玲志さんがもしかしたらいらっしゃるかと思って、パパにわがままを言って連れてきてもらったんです」


