「そろそろ戻らなきゃ。次会う時は名前、教えてね」
風上くんはそう言うと、くしゃり、とわたしの頭を優しく撫でて、柔らかく微笑むとそのまま屋上から出て行った。
触れられた箇所がじんじんと熱を帯びている。
きっと今、わたしの顔はリンゴみたいに真っ赤だと思う。
だって、こんなの反則だよ。
また頭を撫でられた。
でも、全然嫌じゃない。
むしろ、ドキドキしすぎて心臓が破裂していまいそう。
彼の言動がどうしても想くんと重なってしまう。
想くんに会うことなんてないのに。
風上くんに会うと想くんに会いたい気持ちが余計に膨らんでしまうから困る。
ふと、空を見上げた。



