「帰るの?君も何かあったからここにきたんじゃないの?」
すると、背中側から声が聞こえてきて足を止めた。
何かあったから来た。
それは間違いじゃない。
想くんと会えないとわかってちょっと落ち込んだから来てみただけ。
わたしが何も言えずに黙っているとまた後ろから声が届いた。
「俺のことは空気だと思ってくれていいよ」
真綿のように柔らかい声につられるようにわたしは身体を180度回転させた。
わたしと目が合った彼は陽だまりのようなあたたかな表情でわたしに笑いかけてくれる。
本当に想くんみたいだ。
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