この想いが空を舞って、君に届いたら



 後ろ姿からして男の子かな?


 男の子は車椅子に座って、徐々に茜色へと染まっていく空を見上げていた。


 こんなところでなにしてるんだろう。


 とかいうわたしもここに来た目的なんて特にないんだけど。


 わたしの視線に気が付いたのか男の子が空に向けていた視線をゆるりとこちらに映した。


 あ……。

 目と目が合って気が付いた。


 彼はこの前、わたしが小児科のところで出会った人だ。


 わたしが咄嗟に頭を下げて挨拶すると、彼も「また出会ったね」と笑ってくれた。


 でも、邪魔したら悪いよね?

 一人で過ごしたいからここにきたんだろうし。


 そう思ったわたしはそのまま帰ろうと後ろを向いた。