シュガーな悪魔とビターな天使

すごい悩みまくっていたせいで、今日は授業が全然頭に入らなかった。
テストも近いのに、困っちゃうよ……。

そんなことを考えていたら、放課後、雪斗が迎えに来た。

「華。こっち」
「雪斗。晴斗に言われて迎えに来たの?」
「いや、俺が迎えに来たいから迎えに来た」

男子の中でも特に背の高い雪斗。雪斗が教室の出入口に立っていると、すごい目立つ。
とりあえず、手招きして私の席まで来てもらった。

「どしたの? わざわざ珍しいじゃん」
「おう。話したいことあるからさ」
「話したいこと?」
「帰りながら言う」

カバンを持って、並んで歩き始める。
うーん、雪斗、すごい背が伸びたなあ。
昔は同じくらいの身長だったのに、今は180cm近い雪斗。話すのに見あげないといけない。

「それで、話したいことって?」
「ウワサのことなんだけど。どこなんだろなって思って。ウワサの発生源」
「あの、私がサッカー部の岡村先輩と付き合ってるっていう?」
「そう」


私はぶっちゃけ全然モテない。
部活は家庭科部でほぼ帰宅部だし、成績ふつう、顔ふつう。
陰キャとまではいかないけど、陽キャでもない。

で、ウワサの岡村先輩は、結構ハデな人だ。
モテるけど、ちょっと恋愛関係だらしない話も聞く、私とはタイプが違いすぎる人。

正直なところ、なんでそんな人と私が付き合ってる話になったのかわからない。
そう思うと、確かに変なウワサだった。

「やっぱサッカー部かな、出どころは」
「でもねえ。誰がなんのためにそんな話広めたんだと思う?」
「華が邪魔だと思う奴がいるんじゃねえの?」
「へっ?」

考えたこともなかった。
私、誰の邪魔になってるんだろう?