「そんなことが……。」

「優利くん。実はこの手はね、私がやったんじゃないの。先輩の彼女から、嫌がらせを受けててね、最終的にナイフで切られたの……。」

「今、その彼女は捕まったゎ。私はその治療で休んでたの。……でも、やっぱり男の人が怖かった。それでね、たまに保健室に来て、なんとか退学を免れたの。手の跡は消えなかったみたいね。」

「勘違いしてごめん…。」
「それにね、私、優利くんに一度会った事あるんだ。」
「えっ…!!??」

「言いにくいんだけど、夜に優利くんを、商店街辺りで…。そのときの優利くん、泣いてた。それで私、何だか声を掛けずにいられなくて……。」
「それで、また学校に来て、優利くんを教室で見かけたんだけど、声を掛けれなくて……。屋上で優利くんを見かけたから、声を掛けようとしたら……、その…あまりにも夕日で映った優利くんが綺麗で………。」

「そうだったんだ……。璃依が全てを話してくれたから、俺も話すよ。」

「あの時は、好きだった人を店から見かけたんだけど、隣に今の彼氏……俺の中学からの友達がいて、嫉妬したりして泣いてしまったんだよ……カッコ悪いよな…。」

「そんなことないよっ…。」

「それに、俺は妾の子なんだよ。」

「えっ??」

「父さんにあたる奴、に正妻がいたんだけど、母さんとデキてしまった。それで俺が生まれた。昔母さんがよく言ってたよ。ごめんって……。最初は許せなかったよ。でも母さんが謝る姿を見て、耐えきれなくなった。だから許したよ。」

「優利くんにもそんな事が……。」

「優利くんも話してくれて有難う。私だけじゃなかったんだね……。自分が恥ずかしいよ。ずっと自分だけが不幸だって思ってたから……。」

そう言って璃依は涙を流した。

「泣くなよ。俺が泣かしたみたいじゃん!!」

「みたいじゃなくて、泣かしたんだよ〜!!!」



こうして僕達は泣いたり、笑ったりした。

璃依も、

僕も、

心が軽くなった。