Pipi…
携帯のアラームで僕は目を覚ました。時計を見ると9時半。
「やっばっ…」
僕は急いで支度を済ませ、朝食にパンを一枚とって玄関に向かった。
「優利!!はしたないわよ!!」
「ごめん母さん、時間がないんだ。」
ベタなシチュエーションな朝だけど、今回はそんなこと言ってられない。「行ってきまーす!!」
学校までバスで10分。
でも、バスはもうとっくに行ってしまった。
僕は仕方なく走った。
走ってだいたい20分はかかる。
本当は面倒くさかった。
でも、あの子に会いたくて僕は走った。

学校についた時はもう一限目が始まっていた。
僕は一呼吸おいてから教室のドアに手をかけた。
ガラガラ…

「天沢君。遅刻ですよ。」
「すいません。」
「まぁ、いいわ。早く席に座って。」
僕の遅刻にみんな笑っていて、恥ずかしかった。
僕の隣の子も笑っていた。
ていうか、あの子の名前まだしらないなぁ。
ふとそう思っていると、「利、…優利!!」
「ッ…な‥なに?」
「ぼーっとして、どした?」
「な…何でもねぇよ。それより何だよ?」
「いや、入学早々遅刻とは、優利もたいした奴だなー☆」
「う、うるせぇよ。」
「こら!!そこ!喋ってないでちゃんと聞いてなさい。…まったく、天沢君、この問題を解いてくれる?」
黒板には普通の文章問題。
僕は黒板に向かっていき、チョークでスラスラと書いた。
「正解!すごいわね〜」
クラスみんなが関心している。
一樹も「優利すげぇな〜」
「俺天才ですから☆」
そんな会話をしながら、一時間目が終わった。