甘い初恋を、もう一度



「確かに前にそんな請求をやってもらったことはあるんだ。長森さん……おじさんの方だったけど。ただそれは処理の都合上とかあって、何も理由がなかった訳ではないからさ」

「そうなんですか……」

どうやら実鈴は、このことを何となく耳にしたことがあり知っていたらしい。
だから食事会に行きたくない実鈴は、わざと私も欠席させることにして……本当は"二週間前に貰った書類"だけど、あたかも"緊急で提出が必要な書類"に見立てて、私にも仕事を振って行かせなくして、二人分の食事代金を浮かせた。
その金額は次の日の二人分と合算されて、その金額で処理した。そういうことらしい。

ちなみに実鈴が食事会の欠席の理由が、三光パート側の出席者の中に、実鈴が二股……にもならない、キープをかけていた人が居たらしい。でもあの"三光デパートの役員の息子の見合い相手候補"という噂が出たところで、あっさりと切っていた。だから余計なことが知られないように、欠席することにしたということ。
でも欠席しても食事は惜しいし、逆に私が三光デパート側との見合いが決まっても悔しい。だからこのような大胆な行動に出たらしい。小野原さんならまぁ上手く処理してくれるとも思っていたらしいし、実際告発がなければ、そう処理されていただろう。