雨の日だけの秘密の顔で

わっ!?

なになに!?


「ちょっと待って」
「あっ、はいっ?」

すぐそばで、すらっと背の高い伊吹くんを見上げる。
うーん、やっぱりイケメン。
いけないいけない。
またよけいなこと考えちゃった。

「話聞いてくれるって言ったよな。じゃ、ちょっと付き合ってくれない?」
「えっ?と言いますと……」
「一緒帰ろ?」
「ええっ」

いいよね?とばかりに、伊吹くんは自分のカバンを持った。
うん、たしかに全然構わないんだけど。
そう、わたしは構わないんだけど。
モテモテだろうに、伊吹くんはわたしなんかと帰ってていいのかな?

そんな疑問は口に出せないまま。
わたしは伊吹くんと一緒に教室を出た。