雨の日だけの秘密の顔で

図星という顔の伊吹くん。

よけいなお世話かな……。

彼の悩みを聞きたい女子、いっぱいいそうだな。
彼女がいるって話は聞いたことないけど、立候補したい人なら山ほどいそう。


「あ、気にしないでね。話したくないならいいんだ」

あわててつけ足す。

「伊吹くんだってたまにはモヤモヤすることあるよね。お天気も悪いしさ」

なんか微妙なこと言っちゃったな。
ほんとに話すのヘタだ、わたし……。
ちょっと早口になっちゃったのも恥ずかしい。

「じゃ、わたし、ノート取りに来ただけだから」

なんとなく気まずくなっちゃったので、急いで机の方に向かう。
ノートも回収したし、もう帰ろう。


そう思ってくるりと振り返ったら、すぐ目の前に伊吹くんが立っていた。