雨の日だけの秘密の顔で

えっ?
ちょっと待って。
聞き違いじゃなくて?
ほっぺがカーッと熱くなった。

「つまり……?」
「つーまーり!俺は、水沢のことが好きなの」
「え、ええー!」

ほっぺを引っ張ってみた。
ちゃんと痛いから夢じゃない。夢じゃないけど……。

まだ信じられなかった。

おそるおそるもう一度、伊吹くんを見る。
気のせいかな?
彼もちょっと顔が赤い?

「だから、俺と付き合ってほしいんだ。雨の日だけじゃなくて、晴れてても曇りでも。だめ?」

ダメなんて、そんな。
帰り道、話をするたび、伊吹くんのことが好きになっていった。
もっとたくさん話したいって。
でもわたしだけがそう思ってるんじゃないかなって、不安になったり。

「だめじゃない」

そうじゃなかったのが嬉しくて……。

「……嬉しいよ」

うまく声が出なくて。
すごい小さなお返事になってしまった。

でも嬉しくて、笑顔はこらえられなかった。

それを見て、伊吹くんが、

「そのへにゃって笑顔、ゆるくて可愛いんだけどさ」
「へっ?」
「俺の前だけにしといてよ」
「どうして?」
「他のやつに見られたくないから」

伊吹くんがわたしにだけ見せる秘密の顔。
わたしが伊吹くんにだけ見せる秘密の顔。
なんだか、ドキドキする。
ふたりだけの秘密。