視線の先にあるものは

そのときだった。

「その人を離してくれないかな。大事な人なんだ。」

その瞬間、腕を掴む強い力が急に消え、女の子の姿も見えなくなった。

「ごめん、見失って。」
息を切らした橘君が目の前に立っていた。