インストールを開始しますか?

場所を使わせてもらう代わりにわたしたちは、ゲームを貸したりおかしを買ってったりする。

「だから昨日の夜。このアプリでママに命令したの。"一万円くれ"って」

「まさか、そしたら本当にもらえたの?」
 
由希奈がにっこり笑ってうなずいた。

「朝ごはんのときに。『ママ仕事ばっかりでいつもさみしい思いをさせてるから』ってさ」

「びっくりだよね! まさか現実に効果があるなんて思わないじゃん!」
 
奏美が興奮して言った。

「たまたまじゃないの?」
 
わたしはまだ半信半疑だった。
 
だって、アプリで命令したことが現実になるなんて。
 
そんなこと……ある?

「うちのママが一万円くれたんだよ? スマホを買ってもらうのも半年かかったあのドケチママが」

「で、それを確認するために、わたしもインストールしようと思ってさ」
 
そう言って奏美がスマホの画面をスクロールさせた。

「愛梨もやろうよ」
 
がぜん興味が湧いてきたわたしは、自分のスマホを出してURLをタップする。

奏美のスマホと同じ、黒いアイコンが出てきた。
 
説明書きはシンプルだ。

『うるさい親を好きなようにカスタマイズ! このアプリならあなたの願いが叶います。※ただし、絶対にアンインストールしてはいけません』

「アンインストールできないんだ……」
 
ちょっと背中がぞくっとしてわたしがつぶやくと、由希奈が笑った。

「大丈夫だって! 使わないならほかっときゃいいんだから」
 
まぁ、たしかにそうだよね。
 
わたしは『入手』っていう青いボタンをタップする。すると現れるメッセージ。