インストールを開始しますか?

バンッと乱暴にドアを閉めると、学校に向かって歩きだす。
 
あーイライラする!
 
うちのママ、本当にうるさいんだから。
 
世界一口うるさいんじゃないかって思うくらい。たいしたことない話をぐちぐちねちねちガミガミ。
 
こんなママの元に生まれたわたしって、ほんっとーに! ハズレの人生だ。
 
歩きながら、制服のポケットからスマホを取り出して画面を開く。
 
学校にスマホを持っていくのは禁止だけど、誰も守っていない。
 
黒色のメッセージアプリをタップする。

『さくら中学二年三組』っていうタイトルのグループを開いた。
 
このグループで、昨日の夜、みんなとやり取りしてたから寝るのが遅くなったんだ。
 
えーっと、なんの話題だったっけ。
 
画面をスクロールしながら、わたしは記憶をたどる。
 
確か誰かが、親がうざいって言い出して……。

《期末の成績悪かったから、ゲームの課金禁止だって。マジでムカつく》

《なにそれ最悪》

《なにさまだよ》

《うちはあやうくスマホ取り上げられるとこだったよ!》
 
ずらりとならぶ親の悪口に、わたしの胸がちょっとだけスッキリする。自然と口もとに笑みが浮かんだ。
 
この空間、マジで好き。
 
ママがうるさくて、もうやってられないって気分になる時も、みんなで愚痴を言い合えばスッキリする。
 
だけど、昨日はわたし途中で寝ちゃったみたい。
 
その後、話題はちょっとべつのことに移ってた。

《ほんと親ってムカつくよね》

《なんとかならない?》

《黙らせる方法知ってる人〜!》
 
親を黙らせる方法か、あったら絶対試したい。
 
そのためなら、うーん、お小遣い一カ月分差し出してもいいくらい。
 
そんなことを考えながら、画面をスクロールしていたわたしは、あるメッセージのところで指を止める。