インストールを開始しますか?

わたしがかすれた声で聞き返すと、その子はうなずいた。

「夕方の五時だったって」

「ひっ……!」
 
聞いた瞬間、わたしののどから声にならない声が出た。
 
そのまま床にくずれ落ちるように座り込む。脚に力が入らなかった。
 
キーンコーンカーンコーン。
 
教室にひびきわたる予鈴に、ビクッと肩をふるわせる。
 
頭の中で、昨日奏美といっしょに聞いた下校のチャイムの音と重なった。

 ——午後五時は。
 
琴音がカスタマイズママをアンインストールした時間だ!
 
まさか。
 
……そのせいで?

「ちょっと、愛梨大丈夫⁉︎ 真っ青だよ」
 
クラスメイトたちからの問いかけには答えずに、わたしはふるえる手でカバンをガサガサとさぐりスマホを取り出した。
 
カスタマイズママを開きプライバシーポリシーのところを開いた。

『アンインストールについて。決してこのアプリをアンインストールしてはいけません』

「してはいけない……」

『できない』じゃなくて、してはいけないんだ!

 これってこういう意味だったの……?
 
わたしが今このアプリをアンインストールしたら、ママも奏美んちのママみたいに死んじゃうってこと?