インストールを開始しますか?

「え? だけどアンインストールできないんじゃないの?」
 
問いかけながらたずねると、アイコンの横にメッセージが出てくる。

『このアプリをアンインストールしますか?』
 
奏美は迷わずそこを押す。

しばらくしてアンインストールが完了した。

「なんだできるんじゃん」
 
アイコンがなくなった画面をみて、わたしと奏美はホッと息を吐いた。
 
ここまでのこわい展開から、てっきりアンインストールできないものと思ってたのに。

「よかった」
 
奏美も安心したようにつぶやいた。

「これできっともとどおりになるよね」

「だね。由希奈もさっさとこうすればよかったんだよ」
 
わたしたちが言い合った時。
 
キーンコーンカーンコーン。
 
チャイムが鳴って、音楽が流れ出した。

《五時です。全校生徒は下校しましょう》
 
下校の合図だ。
 
この放送が流れると、部活とかで残っている生徒も下校しなきゃいけないんだ。
 
わたしたちは立ち上がる。

「帰ろ」

「うん」
 
由希奈のことは残念だけど、きっとこれでもとどおり。
 
わたしたちはすっかり安心して、うす暗くなった廊下を教室目指して歩いた。

「ねえ、愛梨は消さなくていいの? そのアプリ」

「あとで消すよ。今日本屋よって帰りたいんだ。雑誌の発売日じゃん? 立ち読みしてから帰りたくて」
 
うちのママは、そこまでおかしくなってるわけじゃないし。
 
またあとでいいやって気持ちだった。
 
教室から荷物を取ってきたわたしたちは、校門のところでバイバイだ。
 
奏美とわたしの家は反対方向なんだ。

「また、明日ね」

「うん、バイバイ」
 
奏美はわたしに手をふって歩いていく。
 
それが、わたしが奏美を見た最後の姿だった。