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一階へ下りたら、朝ごはんが並ぶテーブルをスルーして洗面所へ向かう。
 
顔を洗って寝癖を直していると。

「いつまでやってるの? 早くしないと朝ごはんの時間なくなるよ」
 
後ろからママが顔を出した。

「……朝ごはんいらない」
 
ダメだ、前髪がうまくきまらない。もう一度やりなおし。

「なに言ってるの! ちゃんと食べていきなさいっていつも言ってるでしょ。髪型なんてなんでもいいから来なさい!」

「あー、もううるさいな」
 
わたしは振り返ってママをにらんだ。

「わたしにとっては髪型の方が大事なの! 朝ごはんなんてどうでもいい」

「どうでもよくないでしょう。……今日も由希奈(ゆきな)ちゃんの家に遊びに行くの?」

 わたしは鏡を見ながら髪型に熱中する。

「六時までには帰ってきなさいね? この前みたいに七時を過ぎちゃダメよ」

「七時なんて普通だよ! 由希奈ん家にいるんだからいいじゃん!」

「だけど帰り道が心配。もう日が短いんだから。それにとなりの学区で変質者が出たって注意喚起のメールが回ってきたところだし……」

本当、ママって心配症。

「愛梨、聞いてるの⁉︎」

「聞いてるよ! うるさいな!」
 
わたしは早足で洗面所を出る。イライラしながら、朝ごはんが並ぶテーブルをスルーして玄関を出た。