「愛梨(あいり)! 時間よ。起きなさい!」

遠くからわたしを呼ぶ声がする。
 
わたしは、うーんとうなって寝返りをうった。
 
うっすらと目を開くと、部屋が明るい。
 
朝だ。だけど起きられない。
 
あとちょっとだけ……

「愛梨‼︎」
 
部屋のドアがバンッと開き、ママがドスドス足音を立てて入ってきた。

「いつまで寝てるの‼︎ 遅刻するよ!」
 
布団をガバッとめくられて一気に目が覚める。
 
イラッとして声をあげた。

「ちょっと勝手に入ってこないでっていつも言ってるじゃん!」

「何回呼んでも起きないからでしょ! さっさと準備しなさい。朝ごはん食べる時間なくなるよ!」
 
ママはそう言って、また足音を鳴らして一階へ下りていった。
 
わたしは頭をぐしゃぐしゃとした。
 
あー! もう最悪の目覚め!
 
ママったら何回言っても、約束守ってくれないんだから!
 
勝手に入ってくるんだったら、自分の部屋の意味ないじゃん。
 
イライラしたままわたしはベッドから下りて着替えた。