借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜



 大ファンのミステリー作家さんの、最新刊。


 それが、今、私の手の中にある。


 学校図書館には入ってないし、公共図書館はいつでも貸出中だ。予約はしているけど、私が借りるころには続編が出ていそうだ。


 人気作家だからなぁ……それなのに学校には入ってないんだよなぁ……リクエストしてるけど、入ってくるのはいつになるやら……。


 悶々と考えながら、私の手は勝手に表紙をめくろうとする。



「ダメ」



 ギュッと目をつむって、深呼吸を繰り返す。


 絶対に読めないわけじゃないんだから。


 人の……勤め先の息子さんのものを、勝手に触ったらダメ。



「そうだな、盗むんだったらもっと上手くやらないと」



 そう、もっと時間をかけて、相手の油断を誘わなくては……。


 ……。


 ……。


 ……えぇとぉ。


 とりあえず目を開けた。


 幻聴でありますように、と願いながらドアを見る。