「あの鈴村和泉って子、ここで家政婦として働くことになったよ」 凛斗は目をパチクリさせた。予想外だったらしい。俺はちょっとだけ胸が空くような気がしたけど、凛斗はすぐに興味を無くしたようにそっぽを向いた。 「そっか、逃げるかと思ったのに」 その言葉に、俺はやはりと確信した。こいつは、鈴村さんの事情を知っている。 「やっぱりお前が何かしたんだな?」 「別に、手紙を返してあげただけ」 「手紙?」 訝しむ俺に、凛斗が頷く。 「そう、娘を売るって手紙」