「あんた傘ねぇの?」 ふいに問いかけられた声。 こんな夜中、歩いているのはあたしだけ。傘をさしていないのも、あたしだけ。 つまりこの質問はあたしに問いかけられたもの? 後ろを振り返ると、金髪の少年が立っていた。 「入る?」 そう言った彼。傘のことだろう。 でも、知らない人の傘に入るわけにはいかないし、今日は濡れたい気分。 「遠慮しときます」 「いいよ。しなくて」