「あなたが好きです」
君は僕にそう言った
嬉しかった
けど断った
僕じゃ君に釣り合わないから
君は泣きそうな顔で
「そっか、ごめんね」
と言った
それからは、友達として過ごした
ある日君は僕をデートに誘った
「これで無理なら諦めるから」
そう言った
今度は断ろうとは思わなかった
ずっと君と一緒にいたいと思ったから

デート当日君は待ち合わせ場所に来なかった
心配になって電話をかけた
出てきたのは男の人だった
病院に来て欲しいとだけ言われた
君に何かあったんじゃないかと思った
病院に着くと男の人がいた
着いてきて欲しいと言われた
そこは病室だった
君はベッドに横たわっていた
握った手はとても冷たかった
何度も何度も君の名前を呼んだ
だけど君は目を覚まさなかった
君に気持ちを伝えていればよかった
君に好きだと言っていればよかった
たくさんの後悔をした

君がいなくなって何日かたった頃
父親が君の手紙を渡してきた
僕へのラブレターだった
「あなたの笑った顔が好きです」
そう、書かれていた

だったら笑おう
この笑顔が君に届くまで

君と過ごしたこの春に