正源司さん、弱虫怪人くんに恋をする。

担任の宗田兼近(30)歳と楠木が入ってくる。

宗田「よーし席に着けー。今日は君たちの新しい仲間を連れてきたぞー」

生徒達はざわつきながら、うつむく楠木に注目する。

宗田「えー今日からこのクラスの仲間を紹介する、楠木勝くんだ。みんな拍手」

パラパラと拍手が聞こえる。

宗田「よし、後は自分でいけるよな」

コクンと頷く楠木。

楠木「あの、楠木勝です……宜しくお願い……します」

宗田「もう少し大きな声で言え、みんなに聞こえないだろ?」

楠木「す、すみません」

宗田「まあいいや、えーっと正源司の隣空いてるな、そこ座れ」

生徒A「えっ!?」

周りの生徒らはざわつく。

生徒B「正源司さんの隣って永久欠番だよな?」

生徒C「うんうん、隣に座れる相応しい男どころか、女子でさえいない」

宗田「あのなあ、君たちは正源司を神格化しすぎだぞ。正源司だって隣に誰もいないなんて寂しいだろ、ほら楠木席に着いて」

宗田の半ば強引な誘導で、正源司の隣に座る楠木。

楠木「ど、どうも宜しくです」

周囲は楠木に向ける視線が、針の筵(むしろ)状態になる。

正源司「…………!」

楠木「へ?」

正源司は楠木を見るが、一瞬目を見開いてすぐに教壇に視線を戻す。

楠木「怒らせた……?」