「…え!?わ、私ですか?」

「いや、歳近いかなって」


周りを見てみると、スーツ姿のサラリーマンか大学生らしき人しかいなかった。


「まあ、いいですけど」

「よかった。俺、雨音(あまね)。15歳。君は?」

「心陽(こはる)。私も15歳の高校1年生です」

「同い年か。こはるってどう書くの?」

「心に太陽の陽。あまね…くんは?」

「俺は、雨に音。真逆だな」


そんなことを話していると電車が来てしまい、彼とは別れた。

同じホームにいたからてっきり同じ電車に乗るものだと思っていたけれど、違うらしい。

詳しく聞きたかったけれど遅刻するわけにもいかないので、ひとり電車に乗った。

そういえば同い年なのに私服だったし、荷物も持っていなかった。



彼は一体何者なのだろう。


アンニュイな雰囲気をまとった彼のことが、頭から離れなかった。