『孤独な梅雨を過ごすくらいなら、いっそクラゲみたいに消えたい』

今にも消えてしまいそうなほど儚いその横顔も。


『心陽、好きだよ』

まっすぐ見つめるその瞳も。



「私も、雨音くんのことが好き」

「…でも俺、1ヶ月くらいしかここにいられない」

「私、待ってる。来年も再来年も。梅雨の間だけでも、雨音くんと一緒にいたい」

「俺も、心陽と一緒に過ごしたい」


私たちは自然と手を取りあった。



帰り道、私は彼のことをたくさん知った。

歩いたり話したりと行動することができるのは7時30分から19時30分の12時間だけなこと。

19時30分になると目の前が暗くなり、気がつくと翌朝の7時30分らしい。

それから、家族は本当の家族ではないからあまり上手くいってなくて、会いに行けていないこと。

好きな食べ物、好きなこと、好きな動物。

お互いのことをたくさん聞いた。


その間、繋いだ手は一度も離さなかった。