7時30分。最寄り駅。いつものホームのいつもの場所。10分後に来る電車に乗り、高校へ行く。

この駅を使い始めてから2ヶ月、今日から梅雨入りだとニュースで言っていた。周りには見覚えのある人ばかり。


「綺麗…」

空から落ちてくる雨を見つめる瞳、透明感のある焦げ茶のサラサラな髪の毛。

"儚い"を具現化したようなその姿に、そう呟かざるを得なかった。

おそらく彼を見たのは今日が初めて。

乗る場所変えたのかな?

そんなことを考えていると、彼がこっちへ近づいてきた。

やばい、聞こえてたかな…

変な人だと思われたよね…

「あの」

「は、はい…」

「友達になってくれませんか」