君のスガタ

 斗真は俺の思いなんて気にせずに、スラスラと自分の思ってることを口にした。

 その言葉が昔のことだと認識してしまう。

「…自分の心の中では認めてるよ。でも…」

 俺は両手をぎゅっと握りしめて、下に俯く。

 あの時から俺は言葉にするのが怖くなった。

       *

「慶くん」

 当時好きだった女子はクールで笑わない子だった。話すときはたまに笑うことがあったので、その姿さえも可愛いと思えた。

 同級生でありながらも、将来に向けてなりたい職業につこうと頑張っていた。

 大体、図書館デートだった。

 勉強しないといけないのは分かっているけど、俺は集中なんてできなかった。

 そんな時、彼女は急に消えた。

 家の事情で引っ越したと。

俺に何も言わずに。それで何も話せなかったから、SNSを活用して、アカウントを見つけて、DMを送った。

 メッセージを続けると、会ってくれることになった。

 いつもデートで使っていた図書館の入り口で待ち合わせだった。

 俺は待っていると、彼女がやってきた。

「…久しぶり」

 彼女は俺から目を逸らして、遠慮気味に手を挙げた。

「久しぶり。中で話す?」