君のスガタ

 さっきも一緒に回るときも手を引いてくれた。意味なんてないと思うんだけど…

 松永先輩はひたすらどこかに行こうとしていたので、場所を聞こうとしたら、松永先輩の足が止まった。

 そこは、学校で景色が一番きれいな場所だった。

「ここは……」

「そう…ここで一番綺麗なスポット」

 松永先輩はそう言いながら、手すりに体をよりかかった。

 ここは空が一番綺麗で床には芝生が生えていて、のんびりとできる。

「ここ初めて来ました」

 私は目を見開いて、キラキラしている景色に息を呑む。

「ここ……やっぱりいいよな。学校で一番綺麗なスポットって有名だけど。ここが一番穏やかで静かなんだよな」

 松永先輩は手すりに頬杖をついて、何か切なそうにどこかを見つめていた。

「松永先輩はなんで私にここ連れてきたんですか」

 私はどこかを見つめている松永先輩に問いかける。

 私達は六階のテラスにいるので、下から学園祭を楽しむ生徒達を見ていた。

「…頑張ってたでしょ、劇。なので気分転換にでもと思って」

 松永先輩は隣にいる私に景色の方を指さして、ニコッと笑っていた。

「…松永先輩はなんで私にかまうんですか?」