君のスガタ

 私は立ち上がり、急いで来てくれた松永先輩に質問した。

 逆になにもないのはありえない。

 私に用事があるのは明確だ。

「俺はさっきの続きをしたかったから探してたんだよ」

 さっき……ああ、劇の前に松永先輩と回っていた続きってこと。

 え? まだ有効だったの? あれで終わりじゃなかったの?

「え? あっ、もしかして、さっき途中で私が抜けたからですか? いや、それはきよしが用事あるからって連れていかれただけで、私本当は…」

 私は目の前にいる松永先輩に?むことなく伝える。

 本当は松永先輩と回りたかった。

「分かってるよ。劇、よかったよ。シンデレラ姿、可愛かった」

 松永先輩はズボンのポケットに携帯を入れてから、私の方に近づいて、私の髪をなでていた。

 え? 今髪、撫でた。

「……いや…」

 私は目を泳いだ。

 突然のことで驚きを隠せない。

「本当のことだよ。じゃあ、行こう」

 松永先輩は私の手を引いて、走り出した。

「…ちょっ…と。松永先輩!」

 私は急に走り出す松永先輩に声をかけるが、そんな声掛けなんて聞こえてもいない。