君のスガタ


「……っ私はこの人がいいんですってこんなシンデレラこんなこと言ってたっけ。ああ、少し現代版にアレンジしたって言ってたな」

 私は一人ブツブツと呟いていた。

 そんなことをしていると、クラスメイトが教室に入ってきた。

「あれ? 柚だ。何してんの」

 女子クラスメイト一人が教室に入ってきた。

「あ、うん。台本読んでたの」

 私は起き上がり、女子クラスメイトに言う。

「そうなんだ。私は忘れ物取りにきたんだ。劇、頑張ろうね」

 女子クラスメイトはファイトとガッツポーズをして去っていた。

「…私も頑張ろう…」

 私はまた机に突っ伏して、台本を読んだ。

 数時間後、劇が始まった。

「柚、緊張してる?」

 隣にいためぐみに話しかけられた。

 私たちは着替え・メイクをし終えて、カーテンが開く5秒前だった。

「してるに決まってんじゃん。めぐみは生き生きしてるね」

 私は緊張でお腹が痛くなりそうだったが、必死に笑ってごまかした。

 心の中では本当は楽しみでしょうがなかった。

きちんとセリフを言えるかの不安と役を任せて貰える貴重な体験ができることに痺れつつもワクワクしていた。

「…精一杯頑張ろうね」