キーンコーンカーコーン

 昼休みが終わり、午後からの授業が始まった。

「今日はこの時間で七月に行われる学園祭についてこのクラスでなにをやるか決めたいと思います」

 担任の刈谷先生がクラス全員を見渡して、めんどくさそうに言う。

「え~、決めないといけないんですか。だったら、ダンス練習しましょうよ」

 男子クラスメイトが両腕を頭にのせて言い放つ。

「だったら、ダンスでもなんでもやるか?」

 刈谷先生は教壇に手を置き、愛想笑いを浮かべて男子クラスメイトに声を発する。

 なんだよ、それって男子クラスメイト同士でケラケラ笑いあっていていた。

「他のクラスは何するんですか?」

 男子クラスメイトの友達が机に頬杖をついてうちわを片手に持ち言う。

「ああ、まだ決まってない。去年とかはメイド喫茶、サウナ公園とか出したな」

 刈谷先生は思い出しながら、クラス全員に楽しそうにしていた。

「サウナ公園ってなんすっか。先生」

 男子クラスメイトはゲラゲラと仲のいい友達となんだ、サウナ公園ってと何度も言って笑っていた。

「ああ、文字通り。芝生の公園作って、夏なのにガンガン暖房つけて教室でゴロゴロするだけのサウナ公園」

 刈谷先生はどこか遠くを見つめて言っているようだった。

 なんか大変だったんだろうな。

 死んでる目をしてるし。

 どんなことでも今は楽しい思い出に変わっている。

「笑ってるのはいいけど。お前らもやるかもしれないぞ。どうする?」

 刈谷先生はクラス全員に声をかける。

 だが、誰も手を挙げないし、声も出さない。

 これは誰かが案出さないと一向に決まらないパターンだ。

 うわぁ、どうしよう。

 誰か案出さないといけないのに…。

 みんな考えているような姿勢出すけど、頭の中ではあんまり考えていない。

 多分、自分のことで精一杯だ。