もういいや……

 私は諦めて、松永慶先輩の隣に座った。

 右小指を松永慶先輩と絡ませていたので、右手は身動きも出来なく、ムズムズした。

 うわぁ……なんか汗かいてきた。

 自分の右小指を見ると、身動きもとれないのに、小指だけで相手の温もりを感じる。

 何を考えているのか分からない松永慶先輩は相変わらず目を瞑っていた。

 だけど、松永慶先輩の小指は私よりも厚みがあって、安心感があった。

 私も少し目を瞑って、松永慶先輩が起きるのを待った。

「柚! 柚! 柚!」

 なにか声をすると思い、目を開けた。

 そこにはめぐみがいた。

「めぐみ……」

 私は目の前にいためぐみに声を発した。

「あれ? みんなはどうしたの?」

 周囲を見渡してから、めぐみに聞いた。

「みんな帰ったよ」

「え?」

「だって柚寝てたよ。気持ちよさそうに」

 めぐみは眉を下げて、心配そうな表情で答えていた。

「松永慶先輩は?」

「え? 斗真先輩と一緒に帰ってたよ」

「なんか言ってた?」

 私はめぐみと向かい合い、聞いた。

「いや…なにも。だけど、松永先輩から手紙みたいなのももらったけど」