君のスガタ

 周りの様子を見ていたのか斗真先輩にあいまいに返事をして、斗真先輩と話し始めた。

「だよね。まぁ、いいや。慶も……」

 数秒、斗真先輩は何を思ったのか沈黙があったがまた先輩達と話していた。

 隣にいた松永慶先輩はまた目を閉じて、両耳にイヤホンをつけて寝ていた。

 私は眠っている松永慶先輩をよそにめぐみの所へ行こうと立ち上がろうとした瞬間、松永慶先輩が私の右小指を絡ませてきた。

 寝ていたんじゃないの?

 私は目を丸くして、松永慶先輩を見る。

 松永慶先輩はほんの少し目を開けて、笑っていた。

「松永慶先輩!!」

 私は眉間に皺をよせて、大きい声を出した。

 先輩達は急に声を出した私の方に目を向けた。

 斗真先輩はストローを口にくわえて、ぽかんと口を開けていた。

「どうしたの? 柚」

 めぐみは私を見て、心配そうに聞いてきた。

 先輩たちも私の方を見て、どうした? なんかあったの?とコップを片手に持って、私に質問してきた。

「いや……松永先輩が…」

 私は絡めた右小指を離そうとしたが、強くて離れなかった。

「慶がなんか言ったの?」

「はい…」

「え? でも、寝てるよ」