君のスガタ

 私は松永慶先輩から目を外して、声を発した。

 なんか、松永慶先輩じゃないように感じられる。

「なにこの雰囲気。そこの二人、なにしてるんですか?」

 斗真先輩がケラケラと笑って、話しかけてきた。

 空気が読めないのか読めるのか話をしても私が目を合わせて話せるのか微妙だったので、話しかけてもらって逆に助けられた。

「なにもないですよ」

 私は斗真先輩を見て、真顔で答える。

「本当?! いい感じに見えたけど…。ねぇ、皆もそう思わない?」

 ハイテンションな口調で斗真先輩は先輩達に言っていた。

 先輩達は松永慶先輩と私を目を見開き、こちらを見て、私の顔色を窺っていた。

 これは違うのか? いや、でも…を繰り返し、先輩達は自問自答していた。

「いや…別に見えませんよ。普通に話していただけですよ」

 めぐみはさっきほどの高ぶる感情はどこに行ったのか。

 人気者の人が好きなめぐみは先輩達と話している間に何かあったのだろうか?

「…そうですね、めぐみがただ言っただけかもしれないけど。そういう風に見えるかもしれませんね」

 瀬古先輩は気を利かせてくれた。