君のスガタ

 なんで松永先輩行きたいんだ。

 みんなで集まるとか苦手なタイプだと思っていたのに……

「いいね、行こう!」

 斗真先輩はもう行く気満々でもう歩き始めていた。

「え? 待ってくださいよ」

 私は先に歩いていた斗真先輩を追いかけるようについて行った。

 松永慶先輩は面白くなさそうにしていた。

 本当に行きたいと思っているのか?

「行くよ、いくよ」

 斗真先輩は先導を切って歩いていき、行くこと自体が楽しそうにしていた。

「あの……斗真先輩……」

 私は呼びかけたが、全くもって聞いてない。

「言っても無駄だよ。斗真は行くってなったら行くタイプだから」

 松永慶先輩は周囲を見渡すように諦めた様子であった。

「え? じゃあ、何言っても無駄だってこと」

 私は松永慶先輩に思わずため口で聞いてしまった。

 先輩はそんなの気にせずに答えた。

「あ、うん、そう。だから、もう諦めて行くしかないから」

 松永慶先輩は平然とした様子で鞄を後ろに持っていて、前にいる斗真先輩を見ていた。

「………」

 私は黙ったまま、足を踏み出していた。

「柚」

「はい」

 前にいる私は後ろにいる松永慶先輩の方に振り向く。