松永慶先輩は聞いてくる私を何も言わずに呆然と私を見つめているだけだった。

「慶。見惚れてんじゃないの」

 バシッと友達らしき人物は松永慶先輩の背中を叩いていた。

「…いや…そんなんじゃないから。困らせたい訳じゃない…」 
             
 松永慶先輩は目を逸らしてから、口を尖がらせていた。

 友達らしき人物は、はいはいと言ってから松永慶先輩の左肩によいっしょと左手を回していた。

「はぁ…あの……松永慶先輩は分かるんですけど。お友達の名前お聞きしてもいいですか」

 私は友達らしき人物に聞く。

「あ、ゴメン。自己紹介してなかったね。斗真(とうま)って言います。よろしく~」

 斗真先輩はニコニコと笑って、私に挨拶をしてきた。

「斗真先輩、よろしくお願いします」

 私は深々と下げて言った。

「はいはい、よろしくね。あ、慶。どういう顔してんの」

 斗真先輩は松永慶先輩の方を向いて見ると、松永慶先輩は複雑そうな表情をしていた。

 嬉しくないような照れているような表情。

あまり斗真先輩と関わってほしくないのかそれともなにかあるのだろうか。

 私は心の中で考えていた。