私は身構えて、聞き返した。

 きよしは私の前の椅子に座り、私をジッーと見てきた。

「……寝てたんだよ、授業中。そして、今まで。なんか疲れたんじゃない」

 しゃべった。

前まで挨拶していたけど、声を発してなかったからな。

初めて、聞いた。

「…そうだったんだ。ありがとうね」

 私は笑顔を浮かべて、きよしに礼を言う。

「……そう、ならいいけど」

 きよしは机に頬杖をついて、どこかを見ながら言っていた。

「声聞いた。なんかあったの?」

 私はうんと首を捻った。

「……めぐみも心配してたよ。連絡きてんじゃないかな」

 私の話は無視し、めぐみのことを言っていた。

 私は鞄に入っていた携帯を取り出して、開く。

「……あ、きてた。あと、連絡してみるね。ってか、話逸らさないで。なんかあったんでしょ?」

 私は携帯を制服のポケットに入れてから、きよしに聞く。

「……別に。困ってたから………それだけだから」

 きよしは私の目を見ずに、どこかを向いて素っ気なく返事をしていた。

「本当にそれだけでここにいてくれたのかな」

 私は机に肘を置いて、きよしの顔を見た。

「……っ…違うから!」