「…私は……きよしのこといい奴だと思ってる。私は……友達として好きなんだと思う。こんな風に言ってくれて、嬉しかった。初めて、人に告白されて、実は戸惑ってる。だけど、私は人を好きになる感覚が分からない。誰かを好きになったことなんてない。好きが苦手でもそれが恋愛の好きかどうか検討がつかないんだ。私は恋愛に向かないんだ」 

 私は素直にきよしに伝える。

 きよしは瞬きをして、私に言う。

「柚は恋愛が分からないんだよ。じゃあ、恋愛が苦手っていうのは誰のこと? 苦手と分からないは違うよね。柚、それは松永先輩のことだよね」

 きよしの言葉に私は左右に目を泳がせる。

 そんな風に聞こえたの、きよしは。

 違う。違う。松永先輩はただの先輩で後輩だから心配してるだけなのに……

 なんで、私は彼と私で考えているのだろうか。

 私は両手を広げて、その手を見ても、彼の姿が思い浮かぶ。

 彼の姿を思い出して、涙が何故か出てきた。

「柚……。やっと自分の想い分かったんだな。松永先輩だよな?」

 きよしはため息を吐いて、困った顔で思い切り笑っていた。

 私の気遣いで無理して笑ってる。

「……っうん」