君のスガタ

 え? ここって。いつもの帰り道のルートだ。私の家、知ってる人って、めぐみしか知らない。

「めぐみ?」

 私は誰だか分からない人をめぐみだと思い、声をかけると低い声が私の頭に響く。

「起きた?」

「え?」

 顔を覗いてみると、めぐみではなかった。

「松永先輩!」

 私は驚いて、両足をバタバタさせた。

「落ち着けって。本当に何も覚えてないんだな」

 松永先輩ははぁとため息を吐いて、私を地面におろす。

 地面に足をつくと、松永先輩は私の荷物まで持っていてくれたのだ。肩にかけて、重い私を背負ってくれた。

 なんでこんな状態に。

 ってか、バスに乗ってたよね、なんでここにいるの。

「柚。バス乗って寝たでしょ。それで学校に着いても起きなくて困り果てた所に俺が通りかかった。俺が柚を家まで連れていくって言って。そこからは今の状況。本当は自転車に乗せればよかったんだけど。自転車パンクしていて、もう自力で運ぶしかないって思って」

 松永先輩は近くにあったカフェに寄り、注文を頼んでいた。

「俺はコーヒーで。柚は?」

 急に松永先輩はなにを注文するのか私に聞いてきた。

「ああ……、私もじゃあ、コーヒーで」